地震に対する小屋の設計

地震は、縦揺れと横揺れがありますが、小屋にかかる力は主に横揺れだけを考えます。 DIYの前に
小屋設計中
小屋設計中

最近、地震が多いけど小屋は大丈夫かなぁ…

小屋を作る時に地震の心配をされる方から質問をいただきます。

近年は大きな地震も多く発生し心配されるのは当然です。

小さな小屋でも地震に備えておかなければなりません。

建物の構造計算は難しそうですね…。

でも、計算の目的を知ればその意味が納得できます。

私は3.11や2018年の北海道胆振東部地震で被災された方に、小屋の修繕依頼を受けたことがあります。

地震被害の現場を目の当たりにすると、設計ノウハウの大切さが身に沁みてきます。

小屋作りをはじめる前にお知らせしておきたい、地震に対する設計の注意点をまとめてお知らせします。

揺れのチカラは横方向(水平)

揺れのチカラは横方向(水平)
引用:JSDA

地震には縦揺れと横揺れがあります。

縦揺れは重いものを下に落とす力がかかります。

重量が大きい場合は縦揺れもよく検討しなければならないですが、軽い小屋にかかる外力は主に横揺れだけを考えます。

地震が建物に破壊の影響を及ぼすのは、縦揺れよりも横方向(水平)に揺れる時です。

横揺れは建物が高くて重く重心が高いほど破壊力が増大します。

建物の高さで…

二階の方が地震で壊れやすい

小屋は平屋が多いですが、木造住宅は二階建てが主流です。

地域、周期、振動特性により一概には言えないものの、地震層せん断力係数は上層の方が大きいです。

建物が高いと地震の横揺れのチカラが強く躯体に影響するということです。

建物全体の重さが影響?

コンクリート造りに比べて軽い木造建物は地震に有利
木造は軽い

さまざまな条件がありますが、地震力は先程のせん断係数と建物重量を掛け算して計算します。

地震力=地震のせん断係数×建物重量

二階三階と高くて重たい建物は、地震に弱いということになります。

反対に全高が低くて軽い建物は地震に強いということが計算で証明されてます。

軟弱地盤では1.5倍

弱い地盤は地震のチカラを増幅させる

さらに地盤が弱い場所では、求めた地震力に1.5倍をかけて数値を求めます。

地盤が弱いと地震で建物に1.5倍のチカラがかかるということです。

ツーバイフォー構法なら壁の必要面積も1.5倍になり、窓やドアなどの開口部の面積に制限がでます。

建築において地盤評価は主に地耐力が使われます。

地震には土砂崩落や地割れ、液状化の可能性もあるので多方面から検討が大切です。

畑の小屋では…

耕された農地などの軟弱地盤では建物が安定しません。
農地に注意

農園に小屋を建てる方が多いのですが、耕された畑などの軟弱地盤では建物が安定しません。

地下水が通っていたり水はけが悪い場所も多く、ぬかるんでいたりします。

軟弱地盤では排水を考えた地盤改良も検討しなければなりません。

小屋設計する時の地震対策

壁面積が足りないときは、まぐさや筋交い、ブレスなど耐震補強しましょう。
地震は窓面積に注意

自由に自分のアイデアを具現化できるのは小屋作りの醍醐味です。

でも、最低限の地震対策を考えておかないと事故につながる恐れもあります。

小屋を設計するときに地震対策として考えておきたい点を整理します。

開口部面積が大きい時は注意

大開口部があるなら、まぐさや筋交いで耐震補強しよう

たくさんの窓を取り付けたり、掃き出し窓などの面積が大きい窓やドアがある時は、耐震力に注意する必要があります。

在来工法においても柱だけに耐震性を求めるのは限界があります。

開口部の面積には配慮しなければなりません。

東西南北の四面の壁面積量を計算して足りないときは、まぐさや筋交い、ブレスなどで耐震補強しましょう。

壁の偏りに注意

耐力壁をつりあい良く配置しないと安全が確保できません。
同じ壁量でも配置によってバランスの良し悪しが…

壁配置が偏っていると「ねじれ」で局部的にチカラがかかり破壊が生じます。

PANELHOUSEでは四隅に一定の壁を必ず配置してバランスを保ちました。

耐力壁をつりあい良く配置しないと躯体の安全が確保できません。

また、壁線間距離を12m以下、耐力壁線で囲まれる面積を40㎡以下としなければなりません。(補強した時を除く)

PANELHOUSEでは四隅に一定の壁を必ず配置してバランスを保ちました。
四隅に一定幅の壁を配置

屋根が重いと重心が高くなる

瓦など重い屋根材自体も落下の危険性が高まります。
瓦は重い屋根材

建物の高い部分が重いと、重心が高い位置に移動します。

横揺れは重心が高いと影響を受けやすくなり、躯体を大きく変形させる力がかかり壁や柱を破壊します。

瓦など重い屋根材を使うときは躯体耐震力に注意し、瓦自体の落下危険性も考慮しておきたいです。

地震対策を考えると軽い屋根材を選びたいところです。

スリムビスは折れやすいので使わない

水平の横揺れにそなえ、床、屋根を張るときの「ちどり配置」や使用釘の適切な使い方も重要です。

釘の径や長さ、打ち込む間隔も指定や制限されていて水平方向の揺れに対抗しなければなりません。

DIYで使われるコーススレッドは引き抜きには強い応力があります。

しかし、「折れ」に弱く、径が3.3mmのスリムコーススレッドは意外とあっさり折れます。

釘を打ち込む間隔は10~20cm間隔

合板の厚さやビスの太さ、長さによりますが、合板にビス打ちする間隔は意外に狭いです。

住宅基準ですとCN50釘の場合、10cmや20cm間隔になります。

CN50釘とは径2.8mmで長さ50mmの鉄丸くぎです。

平屋の小屋ならそこまで従う必要はありませんが、合板をとめるにはビス釘の間隔が狭いことを知っておいてください。

住宅基準ですとっ釘の間隔は10cmや20cm間隔になります。
引用:枠組壁工法住宅工事共通仕様書

地震に対する基礎について

建築基準法でみると建物は基礎と必ず固定しなければなりません。

古来から地震頻発する日本では石の束に載せただけの建物がありました。

地震でズレますが横揺れの外力が分散しますので建物にはダメージが少ないです。

古くから寺や神社は石束に固定していない建て方をしていたのは事実です。

ブロック基礎で免震になることも

基礎ブロックからズレ落ちたが小屋は無傷
震度5弱の基礎被害

2018年北海道胆振東部地震の時に被災した小屋は、基礎ブロックからズレ落ちました。

幸い小屋建物自体は構造上無傷で、基礎ブロックに乗せ直すだけで補修が終わりました。

古い日本建築の石束と同様の免震構造だったといえるのではないでしょうか?

基礎と固定しないと強風に…

地震に対する石束の免震構造は合理的なのですが、強風に備えるためには基礎との固定が必要です。

強風は風圧力で小屋を移動させる外力です。

近年、災害級の強風が多いことをふまえると、やはり基礎と固定しなければなりません。

まとめ、基礎、開口部、そして地盤をチェック!

小屋のように小さな建物は平屋がほとんどです。

低くて総重量が軽いので地震の影響を受けにくいと言えます。

ムダに太い柱や梁など耐震に意味が見いだせない素人補強を私は目にしてきました。

小屋にかかる地震力を知っておくと余計なコストをかけない合理的な設計ができます。

余計な費用をおさえて地震に効果的な小屋作りをしましょう。

耐震設計では基礎と開口部に注目

地震と強風の両方を考え、立てる場所も考慮
強風にも対策を

基礎は免震性を考えて敢えて基礎ブロックにする方もいます。

しかし同時に、強風による移動の対策も考えなければなりません。

周囲に何もない山小屋と住宅街の物置を区別して基礎を検討してください。

偏心に注意して補強する開口部

開口部は壁が無いので弱い。まぐさなどで補強する。
窓上のまぐさで補強

設計で地震対策を考える時には、開口部の面積と偏心に気を配る必要があります。

大きな開口部を設ける時は「まぐさ」を入れるなどして補強しましょう。

ドア、窓の配置をバランス良くして開口部が偏らないように注意したいです。

地震力を増大…地盤の調査も忘れずに

地盤が弱いと地震のダメージが大きくなります
地震と地盤は関係がある

地盤の沈下や液状化の可能性も調べておきましょう。

近くで土砂崩れがあったり排水性が悪く軟弱地盤なら、小屋を建てる場所の変更を検討したいところです。

ご紹介のとおり軟弱地盤では地震力で躯体に大きな負担が生じます。

地震力を増大させる地盤のことも念頭にいれておきましょう。

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