重量ブロックを使った小屋基礎はココに注意

重量ブロックを使った小屋基礎は? 基礎
物置検討中
物置検討中

三畳くらいの物置小屋を作りたいんだけど、基礎をどうすればいいかわからなくて…?


そんなセルフビルダーの質問をいただきます。

小屋の基礎を最も簡単に作るのは、重量ブロック(基礎ブロック)を利用する方法です。

山小屋で小さな小屋を作るのでしたら、重量ブロックの基礎でも良いかもしれません。

建物に関する法律では重量ブロック基礎を基礎として認めていません。

そのあたりがDIY計画する皆さんの心配になっていると思います。

ただ、実際に街を見渡すと3坪以下の物置小屋なら重量ブロック基礎を見かけませんか?

基礎を置くだけなので簡単なのですが、考えておかなければならないことがいくつかあります。

重量ブロックを小屋の基礎として使うときの注意点をまとめてみました。

重量ブロックとは

重量ブロックを利用して小屋の基礎を作る時は、均等に荷重がかかるように水平に気を遣って設置することが求められます。
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JIS(日本工業規格)で規定されたコンクリートブロックA種、B種、C種などがあり、圧縮強度と単位重量の違いがあります。

軽いA種は軽量ブロックと呼ばれ、重量が重いC種が重量ブロックと呼ばれてます。

重量ブロックは主にブロック塀で積み上げて使われます。

小屋の基礎として利用するのは例外的で、躯体の重量が集中してかかると重量ブロックは簡単に割れてしまいます。

重量ブロックを利用して小屋の基礎を作る時は、均等に荷重がかかるように水平に気を配って設置することが求められます。

重量ブロックの強度

C種の重量ブロックが小屋の基礎として利用できます。

重量ブロックはA種やC種などの種類があり、ブロックの強度が違います。

C種が強度が高く、A種の約2倍あります。

一般的に基礎ブロックとして利用できるのはC種の重量ブロックですので、間違えないようにしてください。

C種重量ブロックの公表されてる圧縮強さを8N/mm2とした場合、おおまかな概算ですが1個当たり100kgくらいには耐えられると思います。

しかし、積雪、小屋の傾きや基礎の沈下によって1個の重量ブロックに荷重が集中してしまうことがあります。

1個当たりの耐荷重は数十kgにとどめ、重量ブロックの個数を求めて設計しましょう。

重量ブロックのサイズ

重量ブロックには高さが10~15cm、半分に切られた半切り(19×19cm)小さなブロックがあります。
左:高さ10cm半切り、右:高さ15cm半切り

重量ブロックには高さが10~15cmのものがあり、半分に切られた半切り(19×19cm)という小さなブロックがあります。

床下の空間は雨水のはね返りや通気性を考えて、15cmのブロックを選び床下の通風を確保することが望ましいと思います。

ただし、床面も高くなるのでステップやスロープ(自転車等を格納する場合)設置を検討しましょう。

半切りのメリットデメリット

半切り重量ブロックは軽くて運びやすく設置も作業がラク
半切は19×19cmくらい

半切り重量ブロックは軽くて運びやすく、水平に設置するのも作業がラクです。

締め固まった地盤なら半切ブロックを設置するのがおすすめです。

一方で、雨後にぬかるむ土地や農園などでは半切りがおすすめできません。

半切りブロックに人が乗るとめり込んでいくような土地では使用を避けましょう。

地盤に接する面積が半分になるので、地盤が軟弱な場合は地盤改良して支持力を上げるか、半切りブロックを避けて通常サイズのブロックにしましょう。

重量ブロックでも小屋を固定しよう

金属のプレートが付いて床資材と固定できるタイプの束石

重量ブロックを小屋基礎にする時の最大の問題は、小屋と固定していないことです。

強風や地震対策として四隅の基礎だけでも羽子板付き束石を使ったり、地盤と直接固定する工夫をすべきでしょう。

羽子板付き束石とは、束石の上部に金属のプレートが付いて床資材と固定できるタイプの束石です。

「ビス止めホールダウン建築金物」と呼ばれる金具を利用して、直接地盤と固定して備える方法もあります。

重量ブロック基礎の注意点

一見すると簡単そうな重量ブロックを利用した小屋基礎ですが、設置する時のコツや注意点を紹介します。

例えば、設置場所に高低差10cm程度の傾斜がある場合、重量ブロックはどのように置いたらいいでしょうか?

傾斜地のブロック基礎

高低差10cm程度なら、重量ブロック2段積みで調整が可能で、水平器を使って計算して、必要な高さを割り出す。

雨水が滞留する所は木製建物に良くないので傾斜地は排水が早くて好条件です。

高低差10cm程度なら重量ブロック二段積みで調整が可能で、水平器を使って計算して必要な高さを割り出すと良いでしょう。

基礎ブロックの高さが高くなると地震や強風でズレる可能性が高くなるため、羽子板付束石を併用するのも良いでしょう。

設置のコツは中央部の基礎を少しだけ高く設置することです。

外周基礎は躯体完成後も高さ調整が可能なので、手が届かなくなる中央部の基礎にしっかり床材をのせる事が大切です。

砂やモルタルを利用しよう

面倒ですが砂やモルタルを使うととても便利です。

基礎ブロックの水平設置は慣れるまで難しいものです。

全ての基礎は一面として水平に設置しつつ、個別の基礎も水平に置かなければなりません。

微妙な調整が求められます。

一見、難しそうですが粒子の細かい砂やモルタルは微調整できて初心者向きです。

土質の排水性が高まり、地盤の締め固めにも効果がありおすすめです。

重量ブロックの水平を出す良い方法は?

水盛りは、バケツ水を透明ホースで吸い上げて水位でレベルを合わせる方法です。
水平をだす水盛り

古くから伝わる方法ですが、基礎を水平に設置するにはホースと水を使う「水盛り」が一般的です。

バケツの水を透明ホースで吸い上げて水位でレベルを合わせる方法です。

今は便利なレーザーの水平器もあります。

外壁材を張るときや内装仕上げでも使えますが、レーザー水平器が無くても従来の水平器などで何とかなります。

予算の都合に合わせて購入を検討してください。

地盤が柔らかくて心配…

水はけを良くして、設置面積は広い方が沈下しにくいので軟弱地盤では「半切り」ではなく、通常サイズのブロックを使ってください。
水はけが悪い所は注意

軟弱地盤に基礎ブロックを設置する時は、沈下防止のために転圧作業が必要です。

設置前に砂利や栗石などを敷き詰め水はけを良くして、設置面積は広い方が沈下しにくいので軟弱地盤では「半切り」ではなく通常サイズの重量ブロックを使ってください。

特に畑等は柔らかいので小屋完成後も1年ごとに基礎沈下を確認し、ジャッキなどで基礎調整をしながら地盤の安定を待つ方法が合理的です。

寒冷地の基礎は

霜柱などで基礎ブロックが持ち上げられる現象で1~2cmも浮き上がることがあります。
凍上の原因の霜柱

氷点下になる冬季には凍上して基礎ブロックが持ち上げられることがあります。

凍上とは霜柱などで基礎ブロックが持ち上げられる現象で、1~2cmも浮き上がることがあります。

凍結深度が約60cmの地域で基礎の凍上を防ぐには、凍結深度以下の60cm以下まで掘り下げて一体化した基礎を埋設します。

しかし、60cm近い深さの掘削や基礎の水平調整はかなりの重労働です。

3坪以下の小屋なら凍上を無視しても…

「まぐさ」で開口部の変形を補強する。

基礎ブロックの凍上は、春の融雪時に元に戻る場合がほとんどです。

深く掘り下げて水平に基礎設置する労力を考えると、3坪程度の小さい小屋なら傾いても変形しにくいように設計するのもアリです。

基礎の傾きで問題になるのは、ドアや窓が開きにくくなる開口部です。

開口部には躯体変形の「ひずみ」が集中します。

耐力壁の面積を広くしたり、「まぐさ」で開口部の変形を補強していれば、小さい小屋なら凍上による変形の心配はほぼありません。

小さい小屋なら重量ブロック基礎もアリ

小屋完成後も沈下や傾きをよく点検し、1個のブロックに荷重が集中しないように、パッキンをはさんだりして他の基礎の調整が必要です。
1個のブロックに荷重が集中しないように

一坪くらいの物置をたくさん販売した当初は四隅だけ羽子板付きやボルト付き束石で固定して、他は重量ブロック置きにした基礎がほとんどでした。

凍上したり地震等で床部分に破壊や不具合がおきるのではないかと不安でした。

しかし、施工した物件の事後訪問などで点検したりアンケート回答をいただきましたが、3坪以下の小屋なら床部分の破損などの問題はありませんでした。

長い年月で調整を

重量ブロック基礎は長期戦で調整が合理的

重量ブロックを使った基礎は、個別のブロックに均等に荷重がかかるようにしなければなりません。

小屋完成後も沈下や傾きをよく点検し1個のブロックに荷重が集中しないように、パッキンをはさんだりして他の基礎への荷重分散が必要です。

軟弱な地盤でも3年も経過すれば一定の「地盤のおちつき」が得られます。

重量ブロックを基礎にする時は長期戦で調整していくのが良いでしょう。

四隅、外周は地盤との固定を

重量ブロックで基礎を作ってもアンカーで地盤と固定しよう。

強風や地震による被害は思いのよらない損害のリスクがあります。

年々、強風の被害が多発していることにも心配が募ります。

物置小屋は設置面積が狭い分、転倒に対して対抗するチカラが弱いと言えます。

基礎の数カ所にアンカーを設置するだけでもかなりの強風対策になります。

重量ブロックで基礎を作っても、数カ所をアンカーで地盤と固定することは忘れないようにしましょう。

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